我々の掲げた“全ての人の価値を認める社会の実現”は、知的な障害をはじめ、様々な障害をもつ人々の人生に係わる日々の実践と、己の生き方、社会のあり方を問い続ける運動にあるとして歩みを進めてきた。
しかしながら、国が打ち出した基礎構造改革の一環として福祉制度の方向転換が実施され、障害者の生きる権利が脅かされかねない事態が生じた。すなわち、「障害者自立支援法」が、一部については4月1日より、10月1日よりは全面的に施行された。これらの改正による変化に困惑させられた一年であった。
その問題点は、第一に、障害程度区分認定におけるシステムが不適切なことである。市町村調査員の調査結果にもとづくコンピューターによる一次判定と医師意見書を加え、審査会の二次判定で区分が決定されるが、調査員、医師、審査員が必ずしも障害についての専門家ではなく、そもそも調査項目が不備であり、コンピューターソフトのロジック(論理)にも欠陥があり、障害特性が充分にはカウントされず、区分が低く(軽く)出てしまう傾向にある。そのため、利用者が必要としているサービスが受けられない場合があり、事業者へ支払われる報酬額(公費)が低く設定されてしまうのである。
第二の問題は、利用者負担が高額となったことである。今までも実費負担はあったが、新たに低率負担(応益負担・定率負担)が生じ、さらに、当法人は極力現状維持としたが、オンプション負担も増える傾向にある。居宅者は、苦肉の策として、減免制度の対象とするため世帯分離することで負担を抑える対応をしたものの、しののめ作業所利用者の中には、受け取る工賃を超える利用者負担をしなければならない人もおり、入所、通所、GH、ともに重い負担となった。その負担額の増大も問題であるが、人件費分まで踏み込んだ利用者負担は、障害者の生きる権利を脅かす懸念が生じた。
第三の問題は、報酬額単価が低く、加えて日割り計算となったことで、福祉サービスの一番の柱は人的支援であるにもかかわらず、必要な人件費を保障するものになっていないことである。
第四の問題は、複雑な事業・施設体系を整理し、利用者主体の体系にするとしながら、その改正は利用者の実態にそぐわないものであり、市町村も予算確保が困難であり、事業者としても新体系を選択できない状況である。また、“施設福祉から地域福祉を”標榜する中で、施設整備費も大幅に削られた制度となり、今後の大きな課題となっている。
第五の問題は、制度の複雑化により、事務量が増大したことである。日割り計算、給付費の請求、利用料の徴収、医療費の請求等々、パソコンソフトの入れ替えなどで対応したものの、労力的にも、資金的にも負担の大きなものとなった。
今回の法改正は、総じて国の公的責任を軽くするものである。その結果、利用者、事業者、市町村に負担を強いるものとなっている。上記の様々な問題点について、関係組織、関係機関を通じ、改善を求める運動をしてきたが、抜本的改正には至らず、部分修正に止まった。
当法人としての具体的な対応としては、4月1日より、新たな利用料の徴収が始まった。10月1日から、生活舎は、地域生活援助事業の廃止に伴い、新法の共同生活援助事業・共同生活介護事業の認可を受けた。また、障害者ディサービス事業が廃止され、市町村の経過的ディサービス事業となった。日中ショートステイ事業も廃止となり、市町村の日中一時支援事業となった。
さらに、今後の事業展開については、2005年度から今年度まで計6回にわたり、小諸学舎検討委員会を開催し、同時に、利用者家族、職員への制度についての情報提供を行い、対応を検討してきた。そして、12月に開催された理事会・評議員会は次年度について当面の取り組みを決定した。